本のご紹介です
黒木華さん主演、樹木希林さん、多部未華子さん共演の映画で話題となりました。
原作の森下典子さん著『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』をご紹介します。
わたくしの読書遍歴のなかでもベストのひとつです。
母親の勧めで茶道教室へ通うことになった大学生の典子が、茶道の奥深さに触れて成長していく姿を描き出すエッセイ風物語。
日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)本の内容と感想です
著者は ふとしたきっかけでお茶の稽古に通うこととなります
決まりごとの多さに面食らい
作法の意味をたずねると
「今は意味なんて気にしなくてもいいのよ」と言われて困惑
季節ごとのお茶菓子の美しさに感動し
花屋では売っていないさまざまな花で
世界があふれていることに気づいていく
お茶を習い始めて25年
就職につまずき 手痛い失恋 父の死という悲しみのなかで
気がつけば いつもそばに「お茶」が
がんじがらめの決まりごとの向こうに
やがて見えてきた自由
「ここにいるだけでよい」という心の安息
「いま、生きている!」ことの切実さ
「まえがき」から引用します
長くなりますが 途中で切ると意味がわからなくなってしまうので..
どしゃぶりの日だった。雨の音にひたすら聴き入っていると、
突然、部屋が消えたような気がした。私はどしゃぶりの中にいた。
雨を聴くうちに、やがて私が雨そのものになって、先生の家の
庭木に降っていた。
(「生きてる」って、こういうことだったのか!)
ザワザワッと鳥肌が立った。
お茶を続けているうち、そんな瞬間が、定額預金の満期のように
時々やってきた。何か特別なことをしたわけではない。どにに
でもある二十代の人生を生き、平凡に三十代を生き、四十代を
暮らしてきた。
その間に、自分でも気づかないうちに、一滴一滴、コップに
水がたまっていたのだ。コップがいっぱいになるまでは、
なんの変化も起こらない。やがていっぱいになって表面張力で
盛り上がった水面に、ある日ある時、均衡をやぶる一滴が落ちる。
そのとたん、一気に水がコップの縁を流れ落ちたのだ。
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そして 終わりに近い章から
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気づくこと。一生涯、自分の成長に気づき続けること。
「学び」とは、そうやって、自分を育てることなのだ。
幸せがあふれている本です
本書によれば「日日是好日」とは
「・・人間はどんな日だって楽しむことができる。そして、人間は、
そのことに気づく絶好のチャンスの中で生きている。・・」
ということらしいです
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