本と映画

志村ふくみ 一色一生

一色一生

わたくし、以前、メールマガジンで本や映画の紹介をしておりました。

この「本と映画」のカテゴリーの記事も、メールマガジンをもとにリライトしたものが多くなるかと思います。なので、新刊のご紹介が少なくなってしまうことは申しわけなく思います。

しかし、少々古くても、いまでも価値のあるもの、そして入手可能なものをできるだけご紹介したいと思っています。

一読いただければ幸いです。

本のご紹介です

志村ふくみさんという染織家がいらっしゃいます。
その方の書かれた「一色一生」をご紹介します。

 

このタイトル、何と読むか?

わたくしは長らく「いっしきいっせい」と思っておりました。
ネットでは「いっしきいっしょう」が正しいとするのが多数派のようです。
「いっしょくいっしょう」という読み方も可能。

どなたか正しい読み方を教えてください。

本の内容と感想です

著者が まだ折々粉雪の舞う山の麓で
桜を切っている老人に出会い
枝をもらって帰った

早速その枝を煮出して染めてみると
ほんのりした樺桜(かばざくら)のような
桜色が染まった

その後 9月に切った桜から染めてみたが
その時の桜は 3月の桜と全然違って
匂い立つことはなかった

著者の友人が 桜の花弁ばかりを集めて
染めてみたが
それは灰色がかったうす緑だった

「その時はじめて知ったのです。
桜が花を咲かすために樹全体に宿している命のことを。
一年中、桜はその時期の来るのを待ちながら
じっと貯めていたのです。」

(桜は花を咲かすために 一年間その力を樹の幹や枝に蓄え
花の季節の直前にそれは最高の状態になるということです)

 

「本当のものは、みえるものの奥にあって、
物や形にとどめておくことの出来ない領域のもの」

イチローも同じようなことをいっていました
「本質の部分というのは表に出ていない部分が勝負を決める」と

 

ワタクシは志村ふくみさんの本をたくさん持っています
この方の文章がとても好きです

ひそかにワタクシだけが知っているかのように思っていたのですが
じつは 人間国宝になられたほど有名な方

本当に心にひびく言葉は
自分だけに向けられたように思えるのです

 

 

 

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