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老人性うつ

老人性うつ
はてなネコ
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お年寄りにもうつ病てあるのかニャ?
お年寄りのうつ病は「老人性うつ」とよばれます

うつ病」はどの年代でも発症する可能性がある病気です。高齢者も例外ではありません。

統計では、うつ病・躁うつ病を含む気分障害の人の割合が、65歳以上では患者全体の31.7%を占めます。65歳以上の人口割合が約28%であることを考えると高い割合といえます(厚生労働省「患者調査(平成29年)」から算出)。

うつ病は早期に適切な治療を行なえばなおる病気です。ただ、高齢者の場合は特有の問題もあり、他の年代と同様にあつかうことが難しい部分もあります。

「老人性うつ」とは

老人性うつお年寄りが「早くお迎えにきてほしい」なんて言うことがよくあります。このことばにはもしかしたら「うつ病」がかくれているかもしれません。

わたくしの家族でも、「うつ」的症状が出ました。「うつ病」であるかどうかの判断は、しろうとではむずかしいところです。

老人性うつ」は正式な病気の名前ではありません。高齢者がかかるうつ病のことを老人性うつと呼びます。

その症状が認知症と似ているところがあって、区別がつきにくいという特徴があります。認知症やほかの病気と併発することも多くあります。

うつ病の診断が遅れると重症化することもあり、とくに自殺の危険があるため注意が必要です。

「老人性うつ」の症状

一般的なうつ病の中核症状は、抑うつ気分、興味・喜びの消失・睡眠障害などです。しかし、高齢者がかかるうつ病の場合、これらの症状がそろわないことが多く、一見認知症の症状にも見えるため診断がむずかしくなります。

老人性うつの症状の特徴は以下のとおりです。

  • 身体的な不調(疲労感、めまい、不眠、食欲低下、頭痛、肩こりなど)を訴えることが多い
  • 気分の落ち込みやうつ的な思考が目立たない
  • 不安や焦燥感を訴える
  • 意欲や集中力の低下、認知機能の低下がみられることが多い
  • 落ち着きがなくなる
  • 趣味やそれまで好きだったことに対して興味を示さなくなる
  • 出不精になり、閉じこもりがちになる

高齢者に以上のような症状がある場合、うつ病を疑ってみましょう。うつ病を放置すると悪化して取り返しのつかないことになるおそれもあるため、早期に医師の治療を受ける必要があります。

「老人性うつ」と認知症との違い

一般的なうつ病も老人性うつも本質的なところでのちがいはありませんが、症状の表れ方にちがいがあります。

以下、表にしてみました。

老人性うつ 認知症
発症のきっかけ 何かをきっかけとして発症することが多い とくにきっかけはなく徐々に進行することが多い
症状の表れ方 身体的な不調・不安・焦燥など 性格の変化・記憶障害など
抑うつ的気分 あるが目立たないこともある あまりない
もの忘れ 自覚がある 自覚がないことが多い
妄想 心気妄想(*1)・罪業妄想(*2)・貧困妄想(*3) もの盗られ妄想・被害妄想
日内変動 ある(午前中不調で夕方から良くなる) ない

(*1)病気でないのに病気と思い込むこと
(*2)自分の行為に罪悪感をもち、自分を責めること
(*3)現実ではないのに、破産してしまうとか、生活していけないと思い込むこと

「老人性うつ」の原因

老人性うつの原因には大きくわけて「重大なライフイベント」と「慢性的なストレス」の二つがあります。

重大なライフイベント
何かをきっかけとしてということで、誘因といった方がいいかもしれません。例えば、

  • 近親者やペットとの死別
  • 住み慣れた家を離れること(引っ越しや施設入所など)
  • 家族や友人とのいさかい
  • 急病
  • 定年退職した
  • 子供が独立した

慢性的なストレス
 本人は意識していなくても、ストレスがうつ病の原因となることはよくあります。

  • 体力・健康の減退
  • 認知機能の低下
  • 行動力の低下
  • 経済的な問題
  • 家族の介護
  • 社会的な孤立

「老人性うつ」の治療

老人性うつの治療は「薬物療法」を中心に、「精神療法」「環境の調整」があります。

いずれにしても、医師の指示・指導のもとに治療が行われることになりますので、様子がおかしいなとおもったら、少しでも早く精神科や心療内科を受診しましょう。

また、患者の家族にも大きな負担がかかりますので、かかりつけ医、ケアマネージャー、地域にある「こころの相談の窓口」や「地域包括支援センター」などに相談し、第三者からの支援も積極的に受けるようにしましょう。

「老人性うつ」の予防

老人性うつの予防には以下の項目がよいとされます。

  • バランスのよい食事
  • 適度な運動を心がけること
  • 過度なストレスをため込まないこと
  • 他者との交流を保ち、孤立しないこと

また、老年精神科医の和田秀樹さんは著書の中で、うつ病の3大予防法として次の3つをあげています。

  • 考えのパターンを変える(思考を変える)
  • 食事のバランスを考える(食生活を変える)
  • 外出して光に当たる(太陽光を浴びる)

この本には、認知症と老人性うつの関係についても詳しく書かれていますので、ぜひ読んでください。