腰痛の予防
腰痛にならないに越したことはありません。現在いくらかでも痛みがある人でも、これ以上悪くならないようにするために、予防策を講じることが必要です。
ここでは、腰痛の予防について実体験と調べたことを書いてみます。
特異的腰痛と非特異的腰痛
腰痛には、原因がわかる「特異的腰痛」と、原因がはっきりしない「非特異的腰痛」とが」あります。
腰痛の予防策は、それぞれの腰痛に応じた対策もありますが、共通しているものもあります。必要に応じて、どちらの腰痛の予防策かを表示します。
※「特異的腰痛」「非特異的腰痛」については、こちらをごらんください → 「腰痛の種類」
腰痛 こころとからだ
ストレス・不安と腰痛
精神的ストレスや不安が腰痛を悪化や慢性化を招くことはよく言われています。
腰痛で身体を動かさないでいることによる精神的ストレスが続くと、痛みを抑制する脳のシステムが機能しなくなってしまいます。その結果神経が過敏になり、さらに腰痛を感じるようになって、ますます身体を動かさなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
痛みのことばかり考えていたりすることもストレスとなり、慢性化の原因ともなります。
また、心理社会的要因は,仕事に支障をきたす慢性腰痛への移行に強く影響しているという研究結果があります → 厚生労働統計協会『厚生の指標』2012年1月(PDF)
髄核のずれと腰痛
腰が重だるいとか痛むという「非特異的腰痛」の原因として、椎間板内の「髄核」のずれによるものとする説があります。
これは、椎間板が飛び出してしまう「椎間板ヘルニア」には至らないまでも、髄核が前後や左右にずれることにより、症状が出るとするものです。
本件については、後日記事にする予定です。
神経障害性疼痛
椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛等、神経が障害されることで神経が過敏になり、痛みの信号が出すぎることがあります。このような状態を「神経障害性疼痛」といいます。
日ごろ気を付けること
よい姿勢
「よい姿勢」とは、背骨が横から見て「S」字のカーブになっている状態です。浅く腰掛けたり、猫背になっているのはよくない姿勢です。
しかし、よい姿勢を保とうとして緊張することはよくありません。リラックスして長時間同じ姿勢でいないようにすることが大事です。
心配しすぎない
不安や心配しすぎは、必要以上に安静にすることによって、さらに腰痛を悪化させたり、脳機能に悪影響を与えて痛みを慢性化させる悪循環におちいる原因となります。
からだを動かす
激しい痛みがあるときは、無理に動くのはよくありませんが、痛みがやわらいできたら出来るだけ早く動くように心がけます。
はじめの内は、鍛えることよりも、無理に力を入れず筋肉をゆるめることが大事です。
腰痛体操
特に高齢者には、筋肉をゆるめる方法として「腰痛体操」が推奨されています。各種ありますが、代表的なものをご紹介します → 「体操で腰痛予防しよう」(PDF)
全身運動
全身運動もからだを整えるのに有効です。特にウォーキングが推奨されます。こちらも上記の資料に紹介されていますので、ご覧ください。
ストレッチ
ストレッチは、経験から言っても「非特異的腰痛」には有効です。こちらの記事をご覧ください → 「腰痛の治療3-私はこうして腰痛を克服した!(1)」
体幹トレーニング
体幹を鍛えるということにより、自前の筋肉で腰を保護することができます。こちらをご覧ください → 「腰痛の治療4-私はこうして腰痛を克服した!(2)」
仕事と腰痛
職場での腰痛の主な要因と対策は次のようなものがあります。
姿勢・動作要因
重いものを持ち上げる仕事
酒屋や介護・看護などは、重いものを持ち上げる機会が多い仕事です。次のような対策が有効です。
- 対象物を身体に近づける
- 重心を低くし、片ひざ立ちで持ち上げる
- 不自然な姿勢にならないように気をつける
- 道具・機械を用いる
長時間、同じ姿勢をとる仕事
デスクワーク、運転手などは長時間同じ姿勢をとる仕事です。次のような対策をしましょう。
- ときどき休憩し、姿勢を変えたり、軽く体操をする
- 前かがみにならない
- イスや運転席の高さなどを調整する
- クッションや腰あてを活用する
環境要因
職場では、次のように改善が必要なケースがあります。必要に応じて工夫や提言をして改善するようにしましょう。
- 床がすべりやすい・段差がある
- 激しい振動をともなう操作や運転
- 寒すぎる・暑すぎる
- 暗い・せまい
なお、厚生労働省による社会福祉施設における対策マニュアルが発表されています → 「社会福祉施設における安全衛生対策マニュアル~腰痛対策とKY活動~」
個人的要因
個人的な要因としては、次のようなものがあります。
- 既往症や持病
- 年齢・性別
- 体格
- 筋力
社会・心理的要因
社会・心理的な要因としては、次のようなものがあります。
- 仕事のやりがい
- 人間関係
- 仕事上のトラブル
- 過剰労働
- 心理的ストレス