読んだ本をごく短いコメントをつけてご紹介しています。
評価は、あくまでも個人的な感想であり、取り上げた作品に対する一般的な評価を意識したものではありません。
初夜
コメント:
今回は、石垣りんの『花嫁』が収載されていた『日本の名随筆31 婚』からもう一篇、『初夜』という短編をご紹介します。
著者の西條八十(1892-1970)は詩人、作詞家。作詞家としての作品は、『かなりあ』『肩たたき』など。
(要約)
著者25歳、新婦21歳。わずか10人ほどの人間が、小さな料理店の二階に集まり、ささやかな結婚式、披露宴を開催した。
貧しい時代で、もちろん新婚旅行の費用などなかった。
挙式後二人はすぐわが家に戻った。家具調度品などはどの部屋にもなく、だだっぴろくさむざむとしていた。
ぼくは、はなやかな撃ち掛けを来た新妻とわが家とを見くらべ、しみじみ気の毒に思った。やがて、二人が初夜のふしどにはいるときがきた。
ぼくは妻に、
「あんまり寂しい結婚だから、せめて今夜がこのままの姿で寝よう」
といった。妻もすなおにうなづいた。こうしてぼくは黒紋つきの礼装のまま、妻はつのかくしに打ち掛けの華麗な晴れ衣装のまま思い出の初夜を眠ったのである。
ぼくはもう一ぺん若く生まれ変わり再び結婚をするときがあっても、このとおりの初夜を贈りたいといまでも思っている。
***
いいなあ....
『わが歌と愛の記』1977 所収。
【評価一覧】
★★★★★ 超オススメ・・読んだらきっといいことがあります
★★★★☆ オススメ・・自信をもっておすすめします
★★★☆☆ 興味があれば・・興味がある人にはオススメ
★★☆☆☆ 時間があれば・・ヒマを持てあましている人にはいいかも
★☆☆☆☆ 読まなくてもいいかな・・難アリなので全部は読まなくてもいいです
☆☆☆☆☆ クソ本・・読む価値なし。多分ご紹介しない