読んだ本をごく短いコメントをつけてご紹介しています。
評価は、あくまでも個人的な感想であり、取り上げた作品に対する一般的な評価を意識したものではありません。
想像ラジオ
いとうせいこうさんは、ヒップホッパー、ラッパー、タレント、小説家、作詞家、俳優、ベランダーとして幅広く活動するマルチクリエイター。本作品は2013年刊行。芥川賞候補ともなった作品です。
こんばんは。
あるいはおはよう。
もしくはこんにちは。
想像ラジオです。
こんな呼びかけで物語は始まります。
震災で亡くなった男性が想像上のラジオ放送のディスクジョッキーとして亡くなったさまざまな人たちの声を伝える物語です。
声は想像力という電波に乗って届く。
想像力豊かな人には聞こえるが大きな悲しみで想像力が心から締め出されている人には届かない。
ディスクジョッキーの冗舌なおしゃべりは語ることができない死者のことばを代弁するようにユーモアを持ちながらも心に迫ります。
彼は言います
「想像してください」
「想像しよう!」
生き残った者の声はメディアが伝えてくれます。
しかし 死者の声は聞くことができない。
文学の力は想像力によって亡くなった人を思い、「ユーモア」によって絶望を乗り越えさせてくれる。
そんなことを考えさせてくれる、心にのこる小説でした。3.11後の文学としても屈指のものだと個人的には思います。
【評価一覧】
★★★★★ 超オススメ・・読んだらきっといいことがあります
★★★★☆ オススメ・・自信をもっておすすめします
★★★☆☆ 興味があれば・・興味がある人にはオススメ
★★☆☆☆ 時間があれば・・ヒマを持てあましている人にはいいかも
★☆☆☆☆ 読まなくてもいいかな・・難アリなので全部は読まなくてもいいです
☆☆☆☆☆ クソ本・・読む価値なし。多分ご紹介しない