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認知症の種類

認知症

はてなネコ
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認知症には種類があるのかニャ?
アルツハイマー以外にもたくさんあります

認知症はひとつの病気ではなく、原因となる疾患(病気)によって多くの種類に分けられます。それらを総称して認知症と呼ぶわけです。

原因疾患によって症状も異なります。ここでは、認知症の種類について書いてみます。

なお、この項目は長谷川和夫著『よくわかる認知症の教科書』(朝日新書 2013年)をもとにしています。

認知症の原因疾患の割合

認知症の原因疾患の割合認知症の原因となる代表的な疾患はアルツハイマー型認知症であり、認知症全体の50%~60%を占めます。続いて血管性認知症の30%、レビー小体型10%、その他10%となっています。

以下、それぞれについてまとめてみます。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症50歳代から脳神経の外側にβ(ベータ)アミロイドというたんぱく質がたまり始め、老人班と呼ばれるかたまりをつくるようになります。

その後、神経細胞内に繊維状のタウたんぱく質がたまり、神経細胞が線維化して、萎縮・消失していきます。

脳の萎縮が始まると認知症の症状があらわれはじめ、軽度・中度・重度とゆっくりと進行していきます。

症状は、以前述べた認知症の中核症状を中心として、さまざまな周辺症状があらわれるようになります。

認知症の症状1-中核症状

認知症の症状2ー周辺症状

血管性認知症

血管性認知症脳卒中(脳梗塞・脳出血)によって脳がダメージを受けることにより引き起こされる認知症です。

一度の脳卒中で急激に発症することもありますが、多くは小さな脳梗塞や脳出血をくりかえす内に段階的に症状が進行していきます。

ダメージを受けた部位により症状がことなり、手足のマヒや言語障害が出ることがあります。

認知面では、意欲や自発性がなくなったり、うつ状態におちいることもあります。感情の起伏がはげしくなり、ささいなことで泣いたり興奮することがあります(情動失禁)。

判断力・計算力などは比較的保たれているものの、はげしいもの忘れがあったり、突然せん妄状態におちいるなど、障害される能力と残っている能力があって「まだら認知症」と呼ばれることもあります。

レビー小体型認知症

脳の神経細胞内に、レビー小体というたんぱく質がたまり、神経細胞が徐々に消失することにより引き起こされる認知症状です。

この病気には、以下のような特徴があります。

  • 認知機能の良い時と悪い時との差が目だち、1日のうちで変動します。外見上ふつうに見えるときとぼうっとしている状態が繰り返します。
  • 実際にはないものが見えるという「幻視」が繰り返し起こります。
  • 筋肉が硬直する、手が震える、姿勢が前かがみになる、バランスを崩しやすくなる、小股で歩くなど、パーキンソン病のような症状(パーキンソン症状)が表れます。

その他の認知症

認知症と同様の症状が表れる病気もいくつもあります。意識障害、うつ病、せん妄、甲状腺に関る病気、肝性脳炎などです。それぞれに対応がことなりますので、見きわめが重要です。

また、以下にあげる病気も認知症様の症状が表われますが、早期に診断することで、治療が可能であったり、高い効果が認められるものです。

嗜銀顆粒性認知症

脳の記憶をつかさどっている部位に異常なたんぱく質(タウたんぱく質)がたまり、それが嗜銀顆粒という物質になって発症するとされる認知症です。もの忘れや怒りっぽい、ガンコになる、自己中心的な言動が目立つなどの症状が特徴です。

正常圧水頭症

脳脊髄液という液が脳内にたまり、圧力が高まることにより引き起こされる認知症様の症状です。急に歩き方が不自然になり、パーキンソン病のうような症状を来します。次に、意欲低下・記憶力の低下が起こり、認知症状が起こります。
髄液の流れを脳室外に逃がす手術によって治療することができます。

慢性硬膜下血腫

転倒などによって頭部を打ったとき、脳の硬膜下に出血し、血腫(血のかたまり)をつくって脳を圧迫することがあります。頭痛・おう吐・尿失禁・運動マヒ・認知障害などが起きます。血腫をとりのぞく手術によって治療可能です。

硬膜は脳を包んでいる膜のひとつ。頭蓋骨のすぐ内側にあり、その内側がくも膜です。したがって、硬膜下血腫は硬膜とくも膜の間に血がたまることになります。

私の母もやったことがありますが、慢性の場合、出血がじわじわとゆっくりなので、転倒してから1か月ほど経たないと症状が現れません。転倒してからしばらくは注意して、CTやMRIなどの検査を受けましょう。

まとめ

典型的な認知症の症状を呈するアルツハイマー型認知症が認知症全体の約半分を占めるとはいえ、残りの半分は他の疾患を原因とするものであり、治療の方法もことなります。

認知症が疑われる状況で、はじめて医療機関を受診する際には、できるだけ患者本人の様子、普段とことなる言動、本人や家族の病歴等をこまかく告げるようにしましょう。それが誤診を防ぐことにもつながります。